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恐縮です。


by behindreturnee

ちょっと恣意的かも

以前に紹介した
名古屋大学 武田邦彦
教授のサイトに、このような文章がアップされていた。
消費者物価が1年に4.3%ずつ上がっていくということを、少し生活の実感でわかる数字に直しますと、10年で1.5倍、40年で5倍程度ということです。

 だから、現在のようにほとんど利子の付かない銀行に預金しておくと、今の100万円は10年後に67万円の価値しかなくなり、40年後にはたった20万円の価値にまで減少するということです。

これはフェアでない。現在のように銀行に預けてもほとんど利子がつかない原因は、4.3%ずつ上がっていくことになっている消費者物価が全然上がらないことにあるのだ。
物価と利子の関係について軽く説明すると、物価の上昇率が激しくなれば利子が上がり、物価の上昇が緩やかになれば利子は下がる。
これは日銀が物価を見て金利を上げ下げしているからで、説明は省くが物価高騰(景気過熱)下では冷や水を掛けるために金利を上げ、物価低調(景気後退)下では盛り上げる為に金利を下げる。(なお、旧来の経済学では全体としての物価が下がることは想定していない。このことが今のゼロ金利スレスレ状態を招いているとも言える。)
ここでグラフを示す。
ちょっと恣意的かも_a0071259_10384677.gif
野村證券 消費者物価の推移と…より引用

これを見ると、1970年の時点で、定期預金(一年)金利でお金を預けていた場合、2000年においては物価上昇率を上回るだけの運用益を上げている。
だから教授の言うように、100万円が40年後には20万円の価値にまで減少するということは実際には有り得ない。

また教授は1972年パラダイムシフト説を唱えており、これを正しいとすれば日本という国はもうかなり上がっちゃった国なので
これからそんなに激しい物価上昇が起こりうるのか?という疑問もある。(インフレとは要は「働けお前ら!」ということだから)

たぶんわかっててやってるのだろう。「なにロクに利子もつかない銀行に預けて金腐らせてんの?」(意訳)という論をこれから展開するために。
そして近々「国債を買ってはいけない!」という本を上梓されるらしいので、国債を買えと勧めようとしているわけではなさそうだ。
ということは株かなあ?株で1970-2000年まで継続して運用していたら、平均的に見れば運用益は同じ額を定期で預けていた場合を軽く上回るだろう。それは間違いない。
しかしあまり扇情的に取り上げるのはどうだろうか。
by behindreturnee | 2007-02-17 10:33